鈴木真吾が白木蓮吾に、河田大貴が河鳥大になって、一つの世界にいた二人がそれぞれの世界に離れた。

前半は真吾の成功に苦悩する大貴に焦点が当てられているなか、徐々に華々しい活躍を見せる真吾の苦悩が見えてくる。

姉、唯の死に強い影響を受けてきた真吾は、華やかな芸能界で心身をすり減らしていた。

ー ちょうどいいほどに僕は絶望している。

そして真吾は死んだ。
真吾の最期の演出をした大貴。
二人の世界が一緒だった頃にやっと戻れたような気がして、ショッキングな場面でありながら、清々しくも感じた。

アイドルが書いた小説という色眼鏡はかち割って、とある若い小説家が書いた物語を読んで欲しいと思う。

最後に、余談のようで余談でない話を。
本作は映画化され、釜山国際映画祭に出品された。
その舞台で河田大貴役の俳優が大きめに見えるジャケットを着ているのが気になったが、原作を読み合点がいった。
そこまで計算された演出なのかそうでないのかはわからないが、そうであると思いたい。