井上円了の「迷信解」を読み始めたところだ。
現代表記でないため読みにくそうだと思ったのもつかの間、おもしろい!すっかり魅了されてしまっている。

「迷信解」は1904(明治37)年9月に出版されたもので、当時文部省から発表された「国定小学修身書」のとある一部について詳細に解説し多くの人にわかりやすく解き明かしたいという趣旨である。

さて、その、とある一部、とはなにか。
そう、タイトルにあるように「迷信」についてである。

その「修身書」に、「迷信を避けよ」との課題・指導があるのだが、その説明は簡潔で児童や家庭にはわかりにくい。円了は、修身書に示された迷信を詳細に解説してくれているのだが、なかなか興味深い。

円了は、妖怪博士だのお化け博士だのと呼ばれていたが、スタンスとしては否定派である。
怪奇なことや不思議な事象を否定する方向から、妖怪や奇妙な夢などの研究していた。
西洋より入ってきたテーブル・ターニング、いわゆる「こっくりさん」の謎も科学的に説明している。

当方、幼いころから妖怪好きで、大人になっても飽き足らず、ついには境港妖怪検定中級保持者にまでなった。いままでに妖怪についていろいろな書物や映像作品に触れてきたが、それらはすべて妖怪肯定派のスタンスのものであった。
今回、円了の作品(論文というべきか)を初めて読み、新しいアプローチで不思議の世界を覗くことができた。明治の書物から新しい感覚を得たことも愉快だ。
と言ってもまだ序の口なので、話を円了の「迷信解」に戻す。

文部省の修身書には、「迷信の避くべきことを知らしむる」とあり、円了もならば児童だけでなく家庭にも「この心得を守りて」、「迷信の信ずるに足らぬことをよく教え込んでおかねばならぬ」と書いている。
現在の文科省の指導要領のようなものがどうなっているのかわからないが、これほどまでに「迷信」に触れていないのではないかと思う。
そういう観点からも大変興味深く読んでいる。

趣旨どおり大変分かりやすい。
さらに噛み砕いたカジュアルな文章に翻訳(?)し、掲載したくなってきたが、稚拙な駄文になるのは目に見えているのでやめておく。
円了先生が怒って化けて出てこられては困る。
いや、出てこれないかな。お化けはいないらしいから化けて出るわけにはいかないと悩ませてしまうだろう。